逆プロポーズした恋の顛末
尽と過ごしたこの二週間。
どんどん距離が縮まっていく幸生と尽の様子を見て、ふたりには絆をしっかり結んでほしいと心の底から思った。
けれど、尽に対する自分の気持ちは、定まらない。
惹かれているし、一線を超えたら、あっという間に彼に堕ちてしまうとわかっているからこそ、踏み出せない。
「まだ、はっきり答えが出せたわけじゃない。でも……今朝、尽と幸生の遣り取りを見ていて思ったの。幸せだなって……こんな毎日がずっと続いたらいいなって、そう思った。でも……」
「でも?」
「わたしは高卒だし、ホステスだったでしょ? そういう相手との結婚を認めるご両親は、かなりの少数派だと思うわ」
幸生という守るべき存在ができて、独り身だった頃よりも強く、たくましくなったと自分でも思う。
それでも、四年前に目を背け、逃げ出したことに立ち向かう自信はなかった。
尽と幸生、わたし――三人で新しい生活をスタートさせたなら、簡単には引き返せなくなる。
失敗したら、やり直せばいい。
ダメならやめればいい。
失敗し、敗北しても、傷つくのが自分ひとりなら、そんな考えで挑戦してもいいだろう。
でも、確実に幸生や尽を巻き込むとわかっていて、軽はずみな決断はできなかった。