逆プロポーズした恋の顛末
同じ事実を眺めても、立場がちがえば見え方も変わる。
相手のことを思ってしたことが、裏目に出てしまうのは珍しいことではない。
わたしだって、幸生が自分でやると言っているのに、上手くできない様子を見ると手を出してしまいがちだ。
幸生が成長する機会を奪うつもりはないけれど、結果として、そうなっていることが度々ある。
そして……何よりも、幸生にとって最初で最後となるかもしれない、曾祖母と過ごす貴重な時間を奪うのが、正しいことだとは思えなかった。
午来弁護士は、わたしが「会う」ことを選択すると確信していたのだろう。
尽のスケジュールもすでに把握済みだった。
彼女に会うと言った途端、尽が当直勤務にあたっている今日を、面会日に指定させてほしいと言ってきたのだ。
尽に内緒で、というのはやはり後ろめたかったが、彼女に会うと話せば、芋づる式に四年前のことも話さなくてはならなくなる。
あまり良好ではない尽と祖母の関係を、この期に及んでさらに悪化させるような真似はしたくなかった。
とは言え、四六時中一緒にいて、尽に悟られないよう平静を装うのは難しいかもしれない。
そう心配したものの、この二日間は、大はしゃぎの幸生に付き合うだけで手一杯。考え、思い悩む暇などなかった。