逆プロポーズした恋の顛末
(四年も引きずるほど好きだった女が、手を伸ばせば届く距離にいて、何もしないでいるなんて、無理だろ)
息子の幸生には、起きている間は「ママ」は幸生のものだから、譲ってやる。ただし、寝ている間は「パパ」のものだから、譲るよう言い聞かせてある。
律が聞いたら、三歳児相手に何を言っているのだと怒りそうなので、「男同士の秘密」だと口止めしておいた。
おしゃべりな幸生のことだから、いずれポロっとしゃべってしまうだろうが、その時までに律を落とせば問題ないし、二人がこちらのテリトリーにいる間に、必ずそうするつもりだ。
そうでもしなければ……たとえ、あと少し耐えれば一緒に暮らせるとしても、二人をあの町へ帰す気になれそうもない。
(完全に、独占欲丸出しの束縛男だな……)
そんな自分に半ば呆れながら、いざ着替えようとスクラブを脱ぎかけたとき、ノックもなしにいきなり更衣室のドアが開いた。
「いたーっ!」