逆プロポーズした恋の顛末


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熟睡はできなかったが、途中で起こされるようなこともなく、一時間ほど身体を休めた後、病院に到着したという睦美からの連絡で目が覚めた。

スクラブから着替え、奇跡的に途中で誰ともすれ違うことなく、職員用の出入り口から外へ出ると、淡いブルーのシャツに白のワイドパンツ姿の睦美がいた。


「尽! すっかり大人の男になっちゃって。相変わらずのイケメンぶりね?」


少し痩せ、メイクが薄くなったせいか、四年前より幼くさえ見える。
が、言いたいことを遠慮せずに言う、その中身は大して変わっていないようだ。


「褒めても何もでねーぞ」

「素直にありがとうって言いなさいよ」

「言われ慣れてて、いちいち礼を言う気になれねーんだよ」

「かわいくないわねぇ」

「おまえに言われたくないね」


昔と変わらぬ軽口の応酬をしながら、駐車場に停めてあった車に乗るよう促す。


「わたし、和食に飢えてるんだけど、『XXXX庵』に行かない?」


睦美がリクエストしたのは、郊外にある手打ちそばの店だ。
個室で、他人の目や耳を気にすることなく寛げるので、何度か利用したことがある。


「ああ、いいな。俺もしばらく行ってない」


一般道へ出て、進路を南へ取ったところで、睦美が訊ねた。


「これ、自分の車?」

「ああ」


何の気なしに認めた直後、迂闊だったと後悔した。


「どうしてチャイルドシート、積んでるの?」


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