逆プロポーズした恋の顛末
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いったい、何がどう繋がっているのだと問い質したかったが、ちょうどそこへ午来弁護士が戻ってきた。
「伊縫さん、検査終わったんですね?」
「あ、はい」
「これ、よければ使ってください」
手にしていた大きな紙袋には、奥さんに頼んで用意してもらったという幸生とわたしの下着や服、洗面道具などが入っていた。
「すみません、こんなことまでしていただいて……」
「大したことじゃありませんから。検査結果は……尽の顔を見ればわかりますけれど、大丈夫だったんですよね?」
「ああ。経過観察は必要だが、とりあえず、いまのところ問題はない」
尽がそう答えると、「よかった」と呟いて微笑む。
「あの、本当にありがとうございました。午来弁護士がいてくれなかったら、幸生もわたしもどうなっていたことか」
「わたしは何もしていませんよ。処置をしたのは医師と看護師ですし。泣き叫ぶ幸生くんを上手く宥めることもできなくて。尽に連絡を取るのがせいぜいでした」
「そんなことありません。幸生もわたしも、知っている人が傍にいてくれて、心強かったです」
「少しはお役に立てたなら、よかった。ところで、退院されたあとの、幸生くんのお世話や家事全般、医療的なサポートも引き受けてくれる方が無事見つかりました。伊縫さんの退院に合わせて、病院まで来てくれることになっています」
「そこまでしていだけるんですか?」
「ええ。古巣ですし、ご挨拶したい人もいるとかで」
「古巣……?」
「引き受けてくださったのは、吉川さんですよ」
「え! でも、」
夕雨子さんのお世話があるのでは、と言おうとしたわたしに、午来弁護士は首を振った。
「夕雨子さんは、昨日のうちにあちらへ移られたので。吉川さんのお仕事は終了となりました」
「……そう、ですか」