逆プロポーズした恋の顛末
懐かしむように写真を指でなぞる所長の目は、潤んでいた。
所長と夕雨子さんにとって、そしてゲストにとって、この日は楽しくて、幸せな一日だったと写真が教えている。
色褪せ、古びているけれど、写真に残るいくつもの笑顔は、その時、その場所に居合わせた人たちが抱く「幸せな気持ち」をいまもしっかり伝えてくれていた。
中でも、一番幸せそうな笑みを浮かべているのは、花嫁だ。
ウエディングブーケを手にし、所長に寄り添いながら、満面の笑みを浮かべる夕雨子さんからは、憂いも不安も感じられない。