逆プロポーズした恋の顛末
「尽!」
アルバムに貼られたセピア色の写真たちを感慨深げに眺めていた尽の腕を叩くと、「何だ」と言いたげに見下ろされる。
その顔に、何十年か前の所長の面影を見て、自分の祖母には見せてあげられなかったものを、夕雨子さんには見せてあげたいと思った。
「お願いがあるの」
「お願い?」
断られることはないとわかっていても、やっぱりこの言葉を口にするのは緊張する。
すっと息を吸い込み、わたしたちが出会った夜を思い返しながら、思い切って告げた。
「結婚してくれない? いますぐに」