逆プロポーズした恋の顛末
晴れの日①
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子どもの頃は、遠足だとか、旅行だとか、明日が楽しみで眠れないことがあった。
けれど、大人になってから、そんな経験をしたことがあっただろうか。

心配や不安で眠れないことはあっても、楽しみのあまり、というのはなかったような気がする。

でも、昨夜はドキドキして眠れなかった。
結婚式に夢や希望なんて抱いていなかったはずなのに、自分でも意外だ。


(いい天気……だし、)


カーテンを開ければ、大きな窓の外は快晴。
清々しい青空が広がっている。


(……きっと、いい一日になるわ)


そう確信して、思い切り伸びをする。


(朝ごはんは、やっぱりお米よね。吉川さんにもらったお漬物もあるし。おにぎりにしようか。お味噌汁は、幸生が好きなワカメとお豆腐で……)


今日は、とても忙しい日になる。
わたしだけでなく、幸生も、尽も、途中で何かをつまむ暇すらないかもしれない。

たっぷりしっかり朝ごはんを食べておかないと、身体がもたない。



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