逆プロポーズした恋の顛末
ブハッとわたしの背後にいた尽の友人、イケメン二人組の一人、雪柳さんが噴き出した。
彼の朗らかな笑い声につられるようにして、みんなも笑い出す。
さんざん笑い転げたところで、偲月さんが信じられないひと言を告げた。
「ありがとーございました! もう、サイッコーにいい写真撮れましたんで! おつかれさまでーす」
「「えっ」」
途端に、ざわめき、慌てふためく人々を無視し、彼女は鼻歌を歌いながらわたしたちの前にやってきて、撮ったばかりのデータを転送したデジタルフォトフレームを差し出した。
「あとで、もっとちゃんとしたのをお渡ししますけど、とりあえず撮りたてをどうぞ」
尽と幸生と三人……だけでなく、周囲を取り囲まれて覗き込んだそこに写し出されたものは、被写体となったわたしたち全員の予想を覆すものだった。
リラックスし切った表情のひとたちを撮った一枚目。
偲月さんたち夫婦の口喧嘩を聞きながら、それぞれ失笑したり苦笑したりしている二枚目。
そして、弾けるようにみんなが笑った瞬間をすかさず切り撮った三枚目。
和やかで、賑やかで、そして楽しくて、そこにいるひとたちみんなが、今日という日の幸せを分かち合っていることを余すことなく示す、「サイコー」にいい写真だった。