逆プロポーズした恋の顛末
「そんなこと……なくはないけど」
尽は、軽くわたしを睨む。
「でも、自分で料理するなら好きなものを作るのは当たり前だし」
「和食がキライなわけじゃない。作るのに手間がかかるから、自然とお子さまメニューになるだけだ」
「うん、うん。わかる、わかる」
「……わかってねーだろ」
気まずい雰囲気になると思っていたのに、ごく普通に――昔のような軽口を叩き合えることが嬉しい。
(こうして、並んで料理しているのが……不思議)
「律」
不意に呼ばれ、見上げた先で、逸らすことを許さないと告げる強いまなざしに捉えられる。
「幸生は、俺の子だな?」