逆プロポーズした恋の顛末
俺の子なのか、と訊かれたなら、ちがうと言えたかもしれない。
けれど、すでにそうだと確信しているのを否定しても、白々しいだけだ。
「……そう、よ」
情けなくも声が震える。
「それで、」
尽は、さらに何かを言おうと口を開きかけたが、不意に聞こえた幸生の声に遮られた。
「ママーっ! お野菜できたぁー?」
「う、うん、もうすぐできる!」
咄嗟に叫び返したことで、目に見えない束縛から逃れられて、ホッとする。
もう逃げ場はないとわかっていても、話し合うのに最適なタイミングではなかった。
「いまは、訊かずにおく。が、あとで律の口から全部、別れてからいままでのことを全部、聞かせてもらう」
ひと言ひと言、噛みしめるように言う尽の顔に浮かぶのは、怒りと悲しみ、苛立ち、いろんな感情だ。
尽には、知る権利がある。
そして、わたしには話す義務がある。
そう思ったから、頷いた。