リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「菫、そんな綺麗事言ってられるの、今のうちだけだよ。人間は欲望のかたまりなんだから」

私の言葉は、亜希ちゃんには綺麗事に聞こえてしまうんだ……


「……欲望のかたまり?」

「欲張りになるってこと。そのうち、その先輩のこと、喉から手が出るほど欲しくなるよ、きっと」

「……そうなのかなぁ」

私はまだ恋愛経験が乏しいから、そういう気持ちになったことはないけれど、人ってそういうものなのかな。

なんてことを考えてると、「ホームルーム始めるぞー」と、いつの間にか現れた担任の先生の声が聞こえた。

亜希ちゃんは、「恋ってそういうものだよ」とさらっと言い残して自分の席に戻っていった。
< 10 / 123 >

この作品をシェア

pagetop