リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「……今でも、晴人が好き?」 

「好きですよ」

私は迷わず答えられる。

「……あっでも南先輩、実花さんと上手くいったみたいなので。私もそろそろ前に進まないと」

隣に南先輩がいなくても、今まで過ごした時間は消えない。

記憶という形で一生残るんだ。

時間が解決してくれるなんて、そんなのは嘘だ。誰もが忘れられない、消えない想いを抱えて進んで行くんだ。


「晴人と、出会わなければよかったと思う?」

「それは思いません。心の底から、南先輩と出会えてよかったって、胸を張って言えます」

先輩を好きになって、つらいことはたくさんあった。

でも、先輩を想えなくなるのは、私にとってもっとつらいことなんだと思う。
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