リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「晴人なら、さっき外の花壇にいたよ」

「えっ?」

「あとの仕事は俺がやっておくから、行っておいで」


「えっでも……」

「大切な想いなら、今すぐ伝えに行かないと」


「……でも、私緊張しいで、ちゃんと言えるかな不安で……」

「そんなこと言ってないで、ほら、早く」

大友先輩は私の肩をくるりと回転させ、優しく、でも力強く背中を押してくれた。

「言葉なんて、何だっていいんだよ。たった二文字でも伝わるし。その想いが伝われば、それでいいでしょ」


「……大友先輩。ありがとう」

それだけ言って二階の図書室を飛び出し、階段を駆け下りた。

上履きをローファーに履き替え、校庭へ駆け出した。


走って息が切れるけれど、それでもあの花壇へ急いだ。
< 104 / 123 >

この作品をシェア

pagetop