リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「ずっと実花が好きだったはずなのに、実花といても、菫ちゃんの明るい笑顔が頭から離れなくてさ」

それを聞いて、静かに、涙がはらはらと流れた。



「菫ちゃんの存在がいつの間にか、俺の中ですごく大きいものになってた」


……夢じゃ、ないんだよね。


「こんなに大切な想いなのに、伝えるのが遅くなっちゃってごめんね。俺も意外と臆病なところがあってさ」



「……菫ちゃんの思いもちゃんと聞いたことがなかったから、少し怖かったんだ」



「……南先輩」

先輩は一歩私に近づいた。

それから真っ直ぐな眼差しで私をしっかり見て、両手を優しく取った。
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