リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
大友先輩に言われた言葉が気になってはいたけれど、「会いたい」という気持ちの方が強く、その日、またあの花壇に行ってしまった。

けれども今日は誰もいなかった。夕方に花の手入れはしないか。


南先輩が水をあげていたリナリアが、まだ綺麗に咲いていた。

小さくてカラフルで可愛い花だ。なんかこの花、段々と南先輩に見えてきた。


「可憐だなぁ」

花壇に近づいてしゃがみ込み、少しの間眺めてた。

「キミたちは、南先輩に育ててもらってるんでしょ?羨ましいなぁ……。私も先輩に可愛がられたいよ」

先輩が花を好きな理由も分かる気がする。

植物には、人を癒す力がある。優しい気持ちになれて心が落ち着くんだ。

隣には私の名前と同じ、スミレの花も咲いていた。
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