リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「菫ちゃんは委員会とか入ってないの?」

唐突にそんなことを聞かれた。

「私は図書委員なんです。毎週水曜日の放課後と金曜日の昼休みは図書室にいます」

「へぇ、本が好きなんだ?」

「はい!なにも考えなくていい感じが。知らない世界に入って、その世界の主人公になってる気持ちになれる。現実では、できないことも多いので」

「なるほどね。たしかに、現実世界は上手くいかないよなぁ」

考え込んだ表情。先輩、また誰かのこと……


「南先輩も、上手くいかないことがあるんですね……」

「そんなの、上手くいかないことだらけだよ」


一点を見つめてそう言う先輩に対して、


「……南先輩の恋、報われるといいですね」

無理に明るい声でそう伝えた。先輩の顔は見ていられなくて、目の前にある雑草を抜いていた。
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