リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「……えっ?」

先輩は驚いていた。そりゃあそうだ。先輩と恋バナなんてしたことなかったし。

「だって南先輩、好きな人いますよね?」

「……菫ちゃん、何でそのこと……」

「ふふっ、先輩を見てればわかりますよ!南先輩わかりやすすぎです」

こんなふうに言ってるけど、実際はなんとなく複雑で、心は晴れない。

「……あぁ」

「私はその恋、全力で応援しますよ。……南先輩には、幸せでいてほしいから」

こうやって言えたのは、恋する気持ちがまだそれほど高ぶってなくて、頂点に達する前だったからなのかな。

「ありがとう、菫ちゃん」

先輩は落ち着いたトーンでそう言って、優しく笑った。
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