リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
水曜の放課後と金曜の昼休みは、決まって大友先輩と図書室で過ごす。

「なあ菫ちゃん、聞いてよ」

「なんですか?大友先輩」

受付に二人で座っていると、いつもの緩いテンションで大友先輩が話しかけてくる。

私は耳を傾けつつ、自分のおすすめの本のポップ作りをしていた。

「この前バイト先でさー…『菫ちゃん』」

聞き覚えのある声。


「えっ!南先輩!」

受付の右斜め前の方から南先輩が歩いてくる。

「晴人、なんでいんの?」

「大友もなんで?」

先輩二人は顔を見合わせた。あぁ、ややこしいことになりそうだ。


「俺は図書委員だからだよ」

「俺は、菫ちゃんがこの前おすすめの本紹介してくれるって言ってたから、借りに来たんだ」

「菫ちゃん、いつ晴人と仲良くなったんだよ」

『晴人はやめた方がいい』そんな助言を受けた後だったから、大友先輩の顔がまともに見れない。
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