リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「あっあの、綺麗っていうのは、……それです!そこに咲いてる花がほら、綺麗だなぁと思って」

自分で言っておいて、はははぁと苦笑い。

彼の前に咲いている、名前も知らない花を指差して苦し紛れに言い訳をした。

花壇一面に咲き競うように咲くカラフルな花が、彼の前にはあった。


彼は吹き出すように笑った。

……あっ。……笑ってくれた。よかった。

「ああ、この花のことね。いきなりだったからちょっとびっくりしちゃって」

「すみません」

「うん、たしかに可憐な花だよね。この花、リナリアって言うんだ」

「……リナリア?」

聞き覚えのない名前に、頭にハテナが浮かぶ。


「そう。ちなみにリナリアの花言葉は、“私の恋を知ってほしい”」

彼は少し寂しそう笑い、花を見ながらそう言った。

それを聞いた瞬間、花を見る彼の横顔が切なげだった理由がわかった。
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