リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「……南先輩。聞いてください」

「うん」

私は先輩の優しさを利用している。

幸せになってほしいと願いながら、先輩から離れたくなかった。


「私は、この先の関係なんて望んでないです」

先輩は私の方を静かに見ていた。

「週に一度、緑化活動を行う先輩と後輩。それでいいんです。そんな関係で」


「……ただ、南先輩の横顔を、そばで見ていたいんです」

目と目が合う、その時間が異様に長く感じた。
< 50 / 123 >

この作品をシェア

pagetop