リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「晴人?」

後ろから声がして、二人で振り返った。

「実花」

いつも冷静な先輩の驚いた声。


——大人っぽくて綺麗な人。高校生にはまるで見えない。

ストレートのロングヘアに短くしたスカート。まっすぐ伸びた綺麗な足。

私が圧倒されてしまった。


不意に先輩を見た。

表情ですぐに分かった。


……南先輩の、好きな人だ。

「こんなに早くから何してるの?」

「あぁ俺、美化委員だから、火曜の朝は早くから来て緑化活動。実花は?」

「そっかぁ。私は気分転換に朝学習でもしようかなぁって」

お似合いな二人。見ていられなくなって実花さんに背を向けた。
< 51 / 123 >

この作品をシェア

pagetop