リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
先輩を見上げて、横顔を見た。私が好きな横顔。


「ん?」

「ふふっ、なんでもないですよ」

……初めは、この横顔に惚れたんだ。でも、今はそれだけじゃない。

穏やかに微笑むところも、花のことになると熱くなるところも、優しいところも私の名前を呼ぶ声も、全部が好きだ。


「あれ?菫ちゃん、なんで傘持ってるの?日傘?」

先輩は私の右手にあった、紺色にピンクの線が入ってる傘を指差した。
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