リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
一番にはなれない
「菫ちゃんごめん。急用ができて」

「はい。わかりました。行ってきてください」

「ほんとごめんね、埋め合わせは必ずするから」

先輩は申し訳なさそうに軽く頭を下げた。


「いいんです。あっ先輩、実は私、折りたたみ傘も持ってて。だから、この傘使ってください。雨も強くなってきたみたいなんで」

私は無理に笑顔を作って、テーブルに引っ掛けてあった自分の傘を手渡した。

……私はどうやったって、南先輩の一番にはなれない。
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