リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「菫ちゃん、ありがとう」

先輩は財布から二人分の代金を取り出してテーブルに置き、いつのまにか土砂降りになっていた雨の中をかけて行った。


……本当は、折りたたみ傘なんて持ってない。

でもいいんだ。今は、この雨に打たれたい気分だったから。

それに、好きな人のところへずぶ濡れでなんか行きたくないでしょ。先輩だって、かっこつけたいときがあるはずだ。
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