リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
それからしばらく、そこの喫茶店から動けなかった。

傘がなくて雨宿りをしたかったわけじゃない。

ただ、南先輩のことを想うと胸が痛くて、恋が叶わない苦しさを痛感していた。

さっきまで私の前で笑っていた先輩は、実花さんのところへ行ってしまった。


二人はこの先、どうなるんだろう……

そんなことを、ただ漠然と考えていた。


結局、私はびしょ濡れで家に帰った。どんなことを思いながら家に帰ったのかは、全然思い出せない。

そして案の定、次の日は熱が出た。布団にくるまって身震いしながら、物思いにふけていた。

南先輩はあの後、実花さんと何があったんだろう。

熱で頭が働かないなか、私はぼんやりそんなことを考えていた。
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