リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「あぁごめん。朝早くにわざわざありがとうな」

そう言って私の傘を受け取る先輩。

「ううん、いいの」

「もう、大丈夫か?」

先輩がそんなふうに実花さんに問いかける。あの日先輩は、実花さんに何かがあって飛び出して行ったんだ。

「うん。晴人のおかげで元気になれたよ。ありがとう」

「そっか、……ならよかった」

ほっとした表情の先輩からは、実花さんに対する愛が溢れているように感じられた。

「今日の放課後さ、久しぶりに一緒に帰ってもいいかな?」

そんなふうに可愛く首をかしげたり、百点満点のスマイルを作れる実花さんが羨ましかった。
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