リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
私は自分に自信もないし、そんな器用なことはできない。

自分と実花さんを比べて、バカみたいに勝手に落ち込んだ。


「もちろん。放課後、昇降口で待ってる」

「了解。じゃあまたね、晴人。委員会活動頑張って」

顔の横で小さく手を振って、実花さんは昇降口の方は歩いて行った。


南先輩と実花さんが話してるときはいつもそう。

……まるで、私なんかいないかのような二人だけの空間になる。


切なくて、寂しくて、悲しくて、泣きたくなった。

南先輩と実花さんは上手くいってるみたい。

もう、先輩の寂しそうな顔を見なくて済むから、嬉しいはずなのにな……


「傘ごめん。ありがとな」

先輩は実花さんから受け取った傘を私に手渡した。

「いえ。実花さんと上手くいってるみたいでよかったです」

また無理に笑顔を作った。最近ずっと、強がってるみたいだ。
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