リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「しっかりしなさいよ。なにしてんのよ。名前と連絡先ぐらい聞きなさいよ」

……ごもっともです。

でもね、亜希ちゃん。


私は、

「そんなに積極的になれないよ。それに……」

「それに?」

……先輩、たぶん想ってる人がいる。


リナリアの花言葉を話すときの、寂しそうな横顔が鮮明に思い浮かんだ。

「ううん、なんでもない。とにかく、私はただ先輩の横顔を見ていられれば、それで幸せだから」

亜希ちゃんはもう一度深くため息をついた。
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