「LOST LOVE 小さくても良いから明かりを見つけたい」金沢OLのピュアな恋。
所詮、お見合いなんて、綺麗におめかしした狐とたぬきの化かし合い。
よほどのことがなければ、直ぐに断ろうと思っている。
なら、本当のわたしの姿を見せて、相手から断って貰ってもいい。
やっぱり、松茸は美味しいしね。食い物の恨みは恐ろしいんだよ。
なにぶんこちらは身動きしずらい女狐の和服姿。
お腹が空いてきた。
けれど、約束時間に遅れないよう早めに料亭に到着できるよう準備する。
「運転手さん、豪徳寺近くの料亭へ急いで」
「お嬢さん、今日は最後の秋日和。結婚式ですかね」
「違います」
男は運転しながらも、バックミラーを覗いてくる。
「あんまりにも綺麗なおすまし顔していらっしゃるから」
「どうせ、化け狐です」
そう、憎まれ口を叩いていた。