「LOST LOVE 小さくても良いから明かりを見つけたい」金沢OLのピュアな恋。
「女将の百合子です。今日はご予約有り難うございます」
「お寒いでしょう。お部屋の中で…すぐにお茶をご用意しますから」
優しく言ってくれたのだが、室内にいると緊張が高まってしまう。
もちろん、そんなこと言葉には出来ない。
万が一でも、力が入り過ぎて早く来たなんて誤解されるのも嫌。
女将の物腰は柔らかで、言葉遣いひとつとってもお見事のひとこと。
やっぱり、高級な料亭は凄いと改めて感じてしまう。
「でも、まだ、早いので。せっかくならお庭も見たいし……」
「お客様が来られたら、庭へお迎えに行きましょうか」
そう、約束してくれた。「ありがとう」と言うのが精一杯だった。