「LOST LOVE 小さくても良いから明かりを見つけたい」金沢OLのピュアな恋。

今朝、予約した美容院で髪を切った。

ロングな黒髪が、時間とともにショートヘアーになってしまう。
彼との思い出が切られた髪として、床に少しずつ落ちてゆく。

鏡の中の自分に、涙が感じられる。
本当は一雄とのつながり、守りたかった。
でも、その想いは、もう、次のページのない思い出。
もう、あの愛に代わるものなんて見つからない。

「あのう、もうちょっとだけ、切って」
けれど、顔見知りの美容師さんは、何故か鋏をとめる。
「まだ、無理でしょう」
「なんで」

「ゆき乃さん、元気出してくださいね」
何にも知らないはずなのに……
黙ったまま頷き、心の中で「ありがとう」と言っていた。
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