姉ちゃんの傘
これは俺の昔の話だ。
小学一年生だった俺は、土曜の午後に学校でできた友達数人と、近くの公園で遊ぶことになった。
「ダイキ、傘を持って行かないと、夕方は雨だって!」
小学三年生だった姉のミサキがそう、出掛けようとウキウキしながら靴を履きかけていた俺に言う。
「大丈夫だよっ!空はまだ晴れてるし、誰も傘なんて持っていかないよ、きっと!」
俺はドアの外を指さし、笑いながら姉にそう返す。
「でも…」
姉はまだ心配そうに俺を見る。
「平気平気!姉ちゃんは『心配性』だなっ!」
言いかけた姉に、俺は覚えたばかりの言葉を得意げに言って返すと、笑って手を振り外へと駆け出した。
そう、今は降っていない。
灰色の雲も、まだ広がり始めたばかり…
五人いる友人たちと、ドロ刑やら勝ち抜きのカードゲームやらをして楽しく遊んでいた。
しかし、親が迎えに来たり、塾に行く時間になったりで、一人、また一人と家に帰っていき、俺は一人になってしまった。
俺も一人だしもう帰ろう、そう思ったとき、それに合わせるかのように雨が降り出した。
家まで歩いて十五分ほどの距離。傘はもちろん持っていない。
両親は仕事でまだ帰らず、家には姉しかいない。
「…。」
仕方なく公園すぐ外の電話ボックスに、一人雨宿り。
雨は強く、風も吹いている。
雨が止むことを祈り、姉に心配され、帰ってから怒られないことを祈りながら…
小学一年生だった俺は、土曜の午後に学校でできた友達数人と、近くの公園で遊ぶことになった。
「ダイキ、傘を持って行かないと、夕方は雨だって!」
小学三年生だった姉のミサキがそう、出掛けようとウキウキしながら靴を履きかけていた俺に言う。
「大丈夫だよっ!空はまだ晴れてるし、誰も傘なんて持っていかないよ、きっと!」
俺はドアの外を指さし、笑いながら姉にそう返す。
「でも…」
姉はまだ心配そうに俺を見る。
「平気平気!姉ちゃんは『心配性』だなっ!」
言いかけた姉に、俺は覚えたばかりの言葉を得意げに言って返すと、笑って手を振り外へと駆け出した。
そう、今は降っていない。
灰色の雲も、まだ広がり始めたばかり…
五人いる友人たちと、ドロ刑やら勝ち抜きのカードゲームやらをして楽しく遊んでいた。
しかし、親が迎えに来たり、塾に行く時間になったりで、一人、また一人と家に帰っていき、俺は一人になってしまった。
俺も一人だしもう帰ろう、そう思ったとき、それに合わせるかのように雨が降り出した。
家まで歩いて十五分ほどの距離。傘はもちろん持っていない。
両親は仕事でまだ帰らず、家には姉しかいない。
「…。」
仕方なく公園すぐ外の電話ボックスに、一人雨宿り。
雨は強く、風も吹いている。
雨が止むことを祈り、姉に心配され、帰ってから怒られないことを祈りながら…
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