姉ちゃんの傘
あれから何年も経って、今日は初バイトの給料日だ。
欲しい物や使いたい使い道はたくさんある。でも……
こんな洒落た店に入るのは初めてだ。
周りをこっそりと伺いながら、目に付いた品物を手に取り、値段を見て、よく全体をみてから一人しかいないレジにそっと持っていく。
「…これ、プレゼント用で……」
姉が今でも好きな黄色に近い、少し大人っぽいレモン色の雨傘。
少し値は張るが、今まで謝れなかったことを考えたらこれくらいはしたい。
親に知られると恥ずかしいので、夜に部屋に呼び出して、手渡しながら言った。
「…姉ちゃんに…」
姉は、俺と、包装紙に包まれた傘を交互に見ながら、目を丸くして聞いた。
「ダイキが買ったの?」
「そう。」
他になんと言えばいいのかわからなくなった。
昔のことを謝りたい。
しかし、今更なんと切り出したらいいのか…
「…あんたねぇ、あんな昔のこと…。初めてのお給料だったんでしょう…?」
言葉を発したのは姉の方だった。
少し呆れたように笑って。
姉にはすぐに分かったのだ。昔のことを気にして、わざわざ初バイトの初給料で買ってきたことを。
「あれはあんたが悪いんじゃないのに。」
何でもないことのようにそう言う姉。
それでも、プレゼントの傘を見てすぐに分かるほど忘れていなかったということは…
欲しい物や使いたい使い道はたくさんある。でも……
こんな洒落た店に入るのは初めてだ。
周りをこっそりと伺いながら、目に付いた品物を手に取り、値段を見て、よく全体をみてから一人しかいないレジにそっと持っていく。
「…これ、プレゼント用で……」
姉が今でも好きな黄色に近い、少し大人っぽいレモン色の雨傘。
少し値は張るが、今まで謝れなかったことを考えたらこれくらいはしたい。
親に知られると恥ずかしいので、夜に部屋に呼び出して、手渡しながら言った。
「…姉ちゃんに…」
姉は、俺と、包装紙に包まれた傘を交互に見ながら、目を丸くして聞いた。
「ダイキが買ったの?」
「そう。」
他になんと言えばいいのかわからなくなった。
昔のことを謝りたい。
しかし、今更なんと切り出したらいいのか…
「…あんたねぇ、あんな昔のこと…。初めてのお給料だったんでしょう…?」
言葉を発したのは姉の方だった。
少し呆れたように笑って。
姉にはすぐに分かったのだ。昔のことを気にして、わざわざ初バイトの初給料で買ってきたことを。
「あれはあんたが悪いんじゃないのに。」
何でもないことのようにそう言う姉。
それでも、プレゼントの傘を見てすぐに分かるほど忘れていなかったということは…