春夏秋冬《きせつ》の短編集
北風の戦士と私
道の端に溜まった水溜りに、薄く氷が張っている。土には霜が降りて、吐く息も白い。
冬。
私は冷たくなった自分の手を強く握りしめて歩く。
早朝四時過ぎの、まだ暗い道。
まだ月も星もキレイに見える。
手袋を忘れ、ハンドクリームも空になっていた。
…水仕事なのに…
そう思い、最近またガサガサになってきた手を思わず見てため息をつく。
冬は嫌いじゃない。
春は花粉症で、夏は暑いしぼーっとするし秋もまた花粉が飛ぶ。
冬は時々雪が降るし仕事に行くのが大変になるけれど、私はこの光景が嫌いではなかった。
「うん、嫌いじゃないや。」
身を切るような寒さの中、厚着で手袋無しの私は職場に向かっていた。
「ん?」
細い通り道にある小さな公園に、早朝だというのに誰かがいる。
白い鎧みたいなものを着た男の人らしい。
(変な格好…。こんなに寒いのに。…気のせいか、なんだか透けて見えるような…)
幽霊なんて見たことがない。自分に霊感なんてものは無いし、だとしても幽霊らしくないというか、なんというか…
そんなことを考えながらまじまじと見つめていたけれど、
「あ〜、電車乗らなきゃ…!」
そう気付くと私は急いで駅に向かった。
仕事終わりの私は、すっかり朝のことを忘れていた。
ぼんやりしながら電車に揺られ、そのうちウトウト眠くなり寝て、そうこうしているうちに地元に着く。
「…ダメ、寝足りない…」
ただでさえ朝が苦手な私。
歩いているときは気が張っているからいいけれど、気を抜けばこの有様だ。
家にいれば眠くなる、そう思い、荷物を置いて財布と鍵だけを持って、夕方の暗くなり始めた外へ。
冬。
私は冷たくなった自分の手を強く握りしめて歩く。
早朝四時過ぎの、まだ暗い道。
まだ月も星もキレイに見える。
手袋を忘れ、ハンドクリームも空になっていた。
…水仕事なのに…
そう思い、最近またガサガサになってきた手を思わず見てため息をつく。
冬は嫌いじゃない。
春は花粉症で、夏は暑いしぼーっとするし秋もまた花粉が飛ぶ。
冬は時々雪が降るし仕事に行くのが大変になるけれど、私はこの光景が嫌いではなかった。
「うん、嫌いじゃないや。」
身を切るような寒さの中、厚着で手袋無しの私は職場に向かっていた。
「ん?」
細い通り道にある小さな公園に、早朝だというのに誰かがいる。
白い鎧みたいなものを着た男の人らしい。
(変な格好…。こんなに寒いのに。…気のせいか、なんだか透けて見えるような…)
幽霊なんて見たことがない。自分に霊感なんてものは無いし、だとしても幽霊らしくないというか、なんというか…
そんなことを考えながらまじまじと見つめていたけれど、
「あ〜、電車乗らなきゃ…!」
そう気付くと私は急いで駅に向かった。
仕事終わりの私は、すっかり朝のことを忘れていた。
ぼんやりしながら電車に揺られ、そのうちウトウト眠くなり寝て、そうこうしているうちに地元に着く。
「…ダメ、寝足りない…」
ただでさえ朝が苦手な私。
歩いているときは気が張っているからいいけれど、気を抜けばこの有様だ。
家にいれば眠くなる、そう思い、荷物を置いて財布と鍵だけを持って、夕方の暗くなり始めた外へ。