春夏秋冬《きせつ》の短編集
くもり空の日に出会った子
毎日暑くなっていく外に、毎日服を薄着にしていく。
最近感じる、じめじめとした空気に、重そうな雲ばかりの空。
(もう梅雨、か…つまんない、ゴールデンウィークも遊びに行けてないのに…)
人の多いゴールデンウィーク、僕の父さんと母さんは出掛けるのを嫌がり、どこにも遠くへ連れて行ってはくれなかった。
今日もせっかくの休みなのに、いつ降るかわからない雨のために傘を持ってまで出掛けたくはない。
「あ…れ??」
曇って薄暗い外を見ていた僕の視線の端に、チラッ、と薄い緑色が映った。
(なんだろう…??)
休みの退屈さに飽きていた僕は、思わずリビングの窓際から立ち上がった。
「もうすぐ昼ごはんよ?」
料理中の母さんが僕に気づいて声を掛ける。
「うん、ちょっとだけ…」
僕はそう言い残して玄関の外に飛び出すと、薄暗い真昼の空の下、さっき見た薄い緑のものを探し始める。
夢中になった僕は、さっきまで『もうすぐ雨が降るかもしれない』なんて思っていたことをもう忘れていた。
(人かと思ったんだけど……)
なぜかとても気になった。でもほんのちょっと見ただけだったから、本当に人だったのかあまり自信はない。
…なんか変だ。
休日の街中。それも真昼なのに、誰も近くを歩いていないなんて。
何かが起きそうな不思議な雰囲気に、僕はなんだかドキドキした。
最近感じる、じめじめとした空気に、重そうな雲ばかりの空。
(もう梅雨、か…つまんない、ゴールデンウィークも遊びに行けてないのに…)
人の多いゴールデンウィーク、僕の父さんと母さんは出掛けるのを嫌がり、どこにも遠くへ連れて行ってはくれなかった。
今日もせっかくの休みなのに、いつ降るかわからない雨のために傘を持ってまで出掛けたくはない。
「あ…れ??」
曇って薄暗い外を見ていた僕の視線の端に、チラッ、と薄い緑色が映った。
(なんだろう…??)
休みの退屈さに飽きていた僕は、思わずリビングの窓際から立ち上がった。
「もうすぐ昼ごはんよ?」
料理中の母さんが僕に気づいて声を掛ける。
「うん、ちょっとだけ…」
僕はそう言い残して玄関の外に飛び出すと、薄暗い真昼の空の下、さっき見た薄い緑のものを探し始める。
夢中になった僕は、さっきまで『もうすぐ雨が降るかもしれない』なんて思っていたことをもう忘れていた。
(人かと思ったんだけど……)
なぜかとても気になった。でもほんのちょっと見ただけだったから、本当に人だったのかあまり自信はない。
…なんか変だ。
休日の街中。それも真昼なのに、誰も近くを歩いていないなんて。
何かが起きそうな不思議な雰囲気に、僕はなんだかドキドキした。