春夏秋冬《きせつ》の短編集
家のそばの細い角を曲がってみると、いきなり誰かが現れた。
「!!」
本当に突然、ふっ、と現れた、水色のキレイな着物姿の女の子。
小さなキツネやタヌキを連れた、僕と同じくらいの歳の……
誰もいない昼間の街に、着物姿の女の子と小さなキツネにタヌキ…
普通ではない、お話の中に出てくるような突然のことだったのに、僕はそれにはなぜか驚かなかった。
その子は僕を見て少しニコっと笑う。そばにいたキツネやタヌキもあいさつするように僕に向かって頭を下げたから、僕も思わず頭を下げてしまう。
すると女の子は、すまなそうな顔で僕の家の軒下を指さして口を動かした。
(なんだろう?『そこにいてね』かな?)
「…そこに、行けばいいの??」
僕が同じ場所を指して言うと、女の子は通じたのが嬉しかったのか、少し笑って何度もうなづいた。
なぜ『そこにいてね』、と言われたのかは分からないけど、この子が悪い事をするようには見えない。
僕はすぐに自分の家の軒の下に行った。
女の子は僕が入ったのを確認すると、空を見上げて、スッ…と空に向かって手を広げた。
そばにいた小さなキツネやタヌキが女の子を見て、応援でもするようにピョン、と一回跳ねる。
そうしたら……
「あ…雨だ…!!」
曇っていただけだった空から、突然大粒の雨が落ちてきた。
ずっと空に向かって手を広げたままの女の子の顔は真剣。
粒はそのうちに小さくなっていって、雨は静かに降り出した。
「!!」
本当に突然、ふっ、と現れた、水色のキレイな着物姿の女の子。
小さなキツネやタヌキを連れた、僕と同じくらいの歳の……
誰もいない昼間の街に、着物姿の女の子と小さなキツネにタヌキ…
普通ではない、お話の中に出てくるような突然のことだったのに、僕はそれにはなぜか驚かなかった。
その子は僕を見て少しニコっと笑う。そばにいたキツネやタヌキもあいさつするように僕に向かって頭を下げたから、僕も思わず頭を下げてしまう。
すると女の子は、すまなそうな顔で僕の家の軒下を指さして口を動かした。
(なんだろう?『そこにいてね』かな?)
「…そこに、行けばいいの??」
僕が同じ場所を指して言うと、女の子は通じたのが嬉しかったのか、少し笑って何度もうなづいた。
なぜ『そこにいてね』、と言われたのかは分からないけど、この子が悪い事をするようには見えない。
僕はすぐに自分の家の軒の下に行った。
女の子は僕が入ったのを確認すると、空を見上げて、スッ…と空に向かって手を広げた。
そばにいた小さなキツネやタヌキが女の子を見て、応援でもするようにピョン、と一回跳ねる。
そうしたら……
「あ…雨だ…!!」
曇っていただけだった空から、突然大粒の雨が落ちてきた。
ずっと空に向かって手を広げたままの女の子の顔は真剣。
粒はそのうちに小さくなっていって、雨は静かに降り出した。