完璧な君の苦手なこと。
「なぁ、朱里。」
夕食の時間、広いダイニングにシリアスな声が響いた。
普段、馬鹿なことしか言わない父のシリアスな声なんて、久しぶりに聞いた。
「何?」
いつもなら適当に「んー?」とか言うだろうけど、そんな雰囲気じゃないな。
「…なんというか、相談というかね」
相談?なんだ、経営に失敗したとか!?
ちょっと!?
「どうしたの?」
胸の中の騒ぎを沈めながら冷静を装った。
「…そのー、新しいお母さんが出来たらどう思うか?」
「ま!?」
新しいお母さん!?
それは再婚というやつか?
目の前の父を見ると、頬を赤く染めてはにかんでいた。
なんか、高校生の私より青春っぽいんだが??
「どんな人?」
そうだそうだ、一発目から否定ではいるのは良くないよね。
まずはどんな人か聞いてみないと。