SWEETHOLIC《2》~社長と秘書の恋の始まりは社長室から~(完)
その日の夜、私達三人は『ドラゴンホテル・東京ベイ』の最上階のフレンチレストランで会食した。

「こんなに早く…君の記憶が戻るなんて俺の予想以上だよ…葉月さん」

「吉良さん…じゃ私の両親は・・・」

「・・・すまない…俺達の両親が当主である爺様の命令で君の記憶を改ざんした」

吉良さんは私に頭を下げた。

「改ざんって…どういうコトだ?吉良」

「・・・君の両親はテロで殺されたんじゃない…俺達を殺そうと爺様の弟のボルト・ジェームズの命令でウィーンに送り込まれた刺客の手によるものだ…本当にあれは酷いテロだった…俺の両親は医師としてテロの怪我を負った人達の救護に当たり、俺達とは別行動となった…それを知らない刺客たちが…俺の両親と間違い…君の両親を殺してしまった…」

「・・・」

「友好的な日本の国の外交官を殺してしまった…それも他国に赴任中の…ジェームズ家としても大問題だ。すぐに爺様はボルト・ジェームズを一族から追放して、火消しに走った…俺も爺様からキツく口止めをされた。幸い、君はショックの余りに『解離性健忘』となってしまった。父はそれを逆手に取り、思い出した時のコトを想定して、新たな記憶を植え付けたんだ…それが…テロで君の両親は殺されたと言う嘘の記憶だ…」

「吉良さん・・・私…」


「・・・俺達がウィーンに会いに来なければ…君の両親が殺されるコトもなかった・・・すまない…葉月さん」

吉良さんはもう一度頭を下げた。
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