SWEETHOLIC《2》~社長と秘書の恋の始まりは社長室から~(完)
多分、藤堂会長よりも社長のコトを理解している。
仕事以外のコトは分からないが。

まさか、私の退職にあそこまで動揺して、全力で引き留めて来るなんて、思いもよらなかった。
私に執着する理由が分からない。
「どうして、私を引き留めるんですか?」
私は思わず訊いた。

「俺は君と何年…一緒に居たと思っているんだ!?」

たかが三年の話。

長年連れ添った夫婦が離婚するかのような会話になっていた。

「三年だぞ…三年」

社長にとっての三年はたかが三年ではないよう。

「君が退職したら、また新しい秘書との関係を構築しなければならない。俺は仕事以外で気を揉むのは嫌なんだ」

社長の言い分を最後まで訊くと、自分勝手な都合だった。
残念。
私は少しだけ期待していた。

「てっきり社長は私のコトを…」
「えっ?」

「いえ…私の独り言です」


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