SWEETHOLIC《2》~社長と秘書の恋の始まりは社長室から~(完)
「お待ちしておりました…お坊ちゃま」

藤堂家お付きの運転手・上沼さん。
彼は私達の姿を見るなり、恭しく頭を下げて出迎える。

シルバーグレーの髪を後ろに撫でつけたようにセットして、ビシッと黒服を着こなしていた。六十代とは思えない実年齢よりも若く見える。

「お坊ちゃま…お鞄お持ち致します」
「いいよ…自分で持つ」

「そうでございますか…では…」
と上沼さんは後部座席のドアを開けた。

黒塗りの外車。
後部座席はゆったりとした空間で車だとは思えない。

シートは向かい合わせ。
私達はいつものように対峙するように腰を下ろす。

車はゆっくりと発進した。

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