SWEETHOLIC《2》~社長と秘書の恋の始まりは社長室から~(完)
「さすがは早波さんだ。井上社長の奥様の顔も頭に浮かぶか…やはり、君は惜しいよ」

新入社員で秘書課に配属された時、野上さんが一番最初に与えられた仕事は、分厚いファイルの中に整理された取引先の社名、取締役や幹部の名前と趣向、家族構成などプライベートの情報が詰まったマル秘ファイルの暗記だった。

そのファイルは秘書室から持ち出し禁止だった為、暗記するのに苦労した。

でも、七年経った今では、そのファイルの情報は全て私の脳内にインプットされていた。

「もしかして、社長は私を試したんですか?」

「そうなるな…」

社長は頷き、皮張りのワインのメニューを開いた。

「早波さん、ワインはどれがいい?」

社長は私に見えるようにメニューを見せた。

「社長にお任せします」

「じゃ適当に決めていいんだね…」

「はい」

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