秘密の恋は、学校で。
ブロローグ
「かわいい。俺のになって?」
俺のって……っ。
目の前にいるクラスの男の子、山田望生君にそんなことを言われた。
「やめて、からかってるんでしょ?」
どうせ裏に友達が隠れてるんだ。
こんな時にまでそんな素直じゃないことを言ってしまうわたしは、馬鹿だ。
「そんな素直じゃないとこもかわいい、守りたいって思うし」
「べ、べつに素直だし!」
いや、素直じゃないだろ。
自分で自分にツッコミを入れた。
手を後ろで組んで、少しずつ彼に近づく。
「わたしは望生君が好きだけど」
これが私の本音かな……?
わたしはサラッと言ったけど、望生君の顔はリンゴみたいに真っ赤だ。
私だって負けてられないんだもん!
「彩結……」
望生君が名前を呼んでくれた。
今まで『おい』とかだったのに……。
「起きて―――――………!」
へ………?
おき…、……?
< 1 / 9 >