俺の好きにさせてください、お嬢様。
“真冬”から降ってきたプレゼント
「エマお嬢様、今日は俺に付き合ってくれませんか?」
高校2年生の冬休み。
ハヤセはいつもより遅くに起こしてくれるため、わたしはのんびりした1日を過ごせる。
今日は何をしようかなーっと考えながら和食を頬張っていると、ハヤセからのお誘いがあった朝。
「うんっ!いいよ!どこかに行くの?」
「はい。柊家の屋敷に一緒に行きましょう」
「……え、」
思わず止まってしまった箸の動き。
ハヤセがそんなことを言うなんて初めてだし、わたしは少し億劫にもなってて。
お姉ちゃんの代わりとしてスタ女に通っていたわたしは、その代わりも、早乙女との婚約すらも成し遂げることができなくて。
そこはお姉ちゃんと早乙女が話を柔らかくしてくれたらしいけれど、それからお父さんには会っていない。
「旦那様にまだご挨拶ができていませんでしたので」
「い、いーよそんなのっ!大丈夫っ!わたしが言っておくから…!」
「エマお嬢様、」
「っ、」
わたしの不安が見えている目だ。
いつもそれ以上に優しい顔で見つめてくれるハヤセ。
大丈夫です───と、彼は言ってくれる。