俺の好きにさせてください、お嬢様。
もういいよハヤセ…。
この人ってね、もう曲者を通り越してるの。なに言っても無駄なんだよ。
そんなにも真面目に怒ってくれるハヤセが馬鹿を見るだけだから。
「馬鹿な女が捨てていった赤ん坊を、柊の娘として育ててやった俺が感謝されるべきだろう」
「…あなたの子供でしょう」
「知らん、勝手に産んだのはあの貧乏臭い女だ。俺からの養育費が欲しいためだけに産んだに過ぎんのだ」
ここにきて初めてお母さんの情報が少し知れた。
貧乏臭かったんだ…。
あ、だからわたしは庶民的な考えに馴染みやすいのかな。
これはお母さんの遺伝だねって、少し喜ぶことにした。
「結局俺から金だけを奪って娘を捨ててるじゃないか。早瀬君、そんな女の子供は苦労するぞ?
君のステータスや稼ぎを狙ってるだけじゃないか?」
そんなわけないじゃんっ!!
確かにわたしなんかの執事がSランクだなんて未だに信じられないよ。
けど、わたしはハヤセと一緒に行く回転寿司やファミレスが大好きなの。
知ったふうなこと言うなって!
この髭ジジイっ!!
「ハヤセっ!もう行こっ!お父さんも忙しいからカッカッしちゃって───…」