俺の好きにさせてください、お嬢様。
嬉しかった。
今までわたしの隣にはこんなふうに言ってくれる人なんかいなかったから。
それだけで、十分だった。
「産まれてくる子がどんなに親を選べなかったとしても、子供からしたら親はかけがえのない親でしか無いんだよ…、
小さい頃なんかとくにそうだ…。褒めて欲しいだろ、撫でて欲しいだろ、だからエマお嬢様は……っ、」
そうだった…。
わたしが四つ葉のクローバーを探すのが得意な理由は、そうやって褒めて欲しかったから。
それくらいしかわたしにはできなかったから、お父さんに渡して「すごいな」って言われたかったのが最初だったような気がする。
すごいねハヤセ、そんなことまでも分かっちゃうなんて。
言葉に詰まって静まり返る中、ハヤセはぐいっと涙を拭った。
「…すみません、取り乱しました。旦那様、エマお嬢様がアリサ様よりも得意なことが1つだけあるんです。それを知っていますか?」
「…どうせくだらんことだろう」
「いいえ。この子は…、この子は四つ葉のクローバーを探すのが得意なんです。
誰かに幸せを与えることが…誰よりも上手な子なのです」