俺の好きにさせてください、お嬢様。




「ふふっ、ハヤセ、お父さんを傲慢ジジイって!」


「……俺は謝りません」


「うんっ、今回はいいと思う!」



もう泣いてない…?

あの涙はわたしのために流してくれたんでしょ……?

ありがとうハヤセ。
すごくすごく格好よかった。



「…お邪魔します」


「うんっ!どうぞどうぞ!」



それからハヤセを案内した1つの部屋。

お姉ちゃんの部屋と比べるとぜんぜん整頓されていないけど、中学生までわたしが過ごしていた自分の部屋。


せっかく屋敷に来てもらったんだし、それまでのわたしのことも知って欲しかったから。



「ハヤセ大丈夫?もう泣かないで?」


「…ならエマお嬢様が泣いてください。あなたの笑顔を見ると逆に俺はつらいんです」



泣き虫なハヤセだ。

わたしが使っていたベッドに腰かけるハヤセの膝の上、今にも泣きそうな頬を包んであげれば、ぎゅっと抱きしめてくる。



「俺がいっぱい褒めます。抱っこもしてあげます。エマお嬢様は、すごいです。誰よりも偉くて素敵なんですよ」


「えへへ、ありがとうハヤセっ」


「そんなエマお嬢様が俺は大好きだ。誰よりも誰よりも……出会ったときから、大好きです」


「…うん」



きっとお父さんに褒められて抱っこされるよりも、こうしてハヤセにされる嬉しさのほうが何百倍も勝ってる。



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