俺の好きにさせてください、お嬢様。
「卒業したら、一緒にイタリアで暮らしませんか?」
「…えっ、わたしイタリア語なんか話せないもんっ」
「大丈夫、わりと変わらない生活が待っていると思いますから。
それにあと1年はありますので、エマお嬢様ならきっとすぐに話せるようになりますよ」
ないよっ!無理よ!!
それだけは無理だよっ!!
フランス語も未だに微妙なのハヤセがいちばん知ってるくせにっ!!
ん…?変わらない生活……?
「それから向こうには俺の兄さんたちもいる」
「お、お兄さんっ!?」
「はい、2人います」
うわわわわっ!!
それってぜったい2人共イケメンさんに決まってる……!!
わたしの心臓持つ…?
だってハヤセが分身してるってことだよね…?ハヤセいっぱい……。
「破壊神の問題児で疫病神だよ……?そんなのを日本から弟が連れてきたら、お兄さんたちびっくりしちゃわない…?」
「はは、するかもしれませんね」
「だよねっ!?やめるっ!!」
「やめねえよふざけんな」
「わわっ!」
いや、その“やめる”ってイタリアに住むことだけだよ……?
ハヤセとの結婚は何がなんでもやめないもんっ!!
だってイタリアって、きっと台湾より広いから。
台湾でも迷子になってたわたしだし…。
今度こそ本当にハーネスとリード確定だ。