俺の好きにさせてください、お嬢様。
「あっ!そうだ!ハヤセちょっとリボンタイ外してっ」
「…え?」
「いーからっ!リボン外すのっ!」
「……それは誘ってるということですか。ずいぶんと積極的になられましたね、エマお嬢様」
え、なんのこと…?
とりあえずハヤセはわたしの言ったとおりに今まで愛用していたリボンタイをしゅるしゅると外した。
「そしたら目つむって?」
「え、俺は見たいんですが…」
「だめなのっ!」
「ふっ、わかりました」
スッと目の前の瞳が閉じられた。
整っている顔をじっくり眺めたいんだけど、ガサゴソと小型バッグから1つのそれを取り出して。
シュルッと同じようにハヤセの首元へ巻く。
「よしっ!完璧!開けていいよハヤセ!」
「───…これ、」
「うん!台湾で買ったの!ハヤセにちょっと早い誕生日プレゼントっ!
そしたら迷子になっちゃってたオチだけど…」
もうすぐ12月24日だね、ハヤセ。
一緒にお祝いする2年目の聖なる夜がくるんだよ。
少し太めのレトロなリボンタイは、深い緑色。
それまでハヤセが付けていた黒色のものは、明日からわたしが制服や髪に飾ろう。