俺の好きにさせてください、お嬢様。




「っ、…んっ、…っ、」



震える唇に、ちゅっと合わせられて。

涙が混ざる中でも何度か繰り返された。



「エマお嬢様、俺を見てください」


「っ…、うぅ、……っ、」


「俺を見ろ、エマ」



その目は、わたしだけを映している愛情いっぱいの目だった。

涙を拭ってくれる指も唇も、この人ものだけがあればいいって思うものだ。



「ハヤセ…っ、キスして、いっぱいして…っ」


「あぁ、」


「んんっ…っ、もっと、もっと…っ」



これはお嬢様の命令じゃなくて、わたしとして求めているもの。

求める度に倍になって深い深いものが重ねられて、覆い被されながら激しく交わって。



「───…これからも俺と一緒に泣いて、俺と一緒に笑うんです」



ずっとずっと一緒。

雨の日だって風の日だって、夜だって朝だって。


今だってそんな生活が毎日だけど、それは高校を卒業した先でも続くってこと。

日本から出てイタリアに行って、カラフルでお洒落な街の一角に一緒に暮らして。


それで変わらず「おはよう」って、「おやすみ」って言い合うんだ。


休日はイタリアの街をお散歩したいなぁ。
そこでも一緒に四つ葉のクローバーを探すの。

そんなものを想像したらワクワクしてきた。



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